終活全般

孤独死|死亡の発見遅延が招くリスク

近年、核家族化が進みひとつ屋根の下で家族が過ごすことは珍しくなってきました。昔は当たり前だったサザエさんのような家族像が今では幻と言っても過言ではないでしょう。
この核家族化が加速した影響で孤独死が増え、死亡の発見が遅くなるケースは少なくありません。

今回はこの孤独死の発見が遅くなることで発生する損害と対策をご紹介していきます。

死亡の発見が遅れた場合に発生する損害とは

人はいつどのような状況で亡くなるかは誰にもわかりません。体調が少しずつ悪化し、入院している最中に亡くなることもあれば、自宅や介護施設等の居室で突発的に亡くなることもあります。

もし予期せぬタイミングで亡くなった場合、サービス付き高齢者住宅や介護施設などに居住し、コンシェルジュや施設職員による見守りが行き届いている、あるいは在宅で訪問診療・訪問介護を受けていたり、配食サービスを利用しているなど自宅を定期的に定期的に訪れる人がいる、という場合を除けば、その事実をいち早く把握することは困難と言えるでしょう。

実際に遺体の発見が遅れると死後数日、夏場であれば1日経過するだけでも腐敗が進行します。自分の遺体が腐敗した状態で発見され、異臭や害虫によって周辺環境に悪影響を及ぼす…という事態は誰しもが望まないことでしょう。
また、葬送の計画や不動産の原状回復などで遺族や死後事務委任契約の受任者など、第三者に対して大きな影響を及ぼしてしまうのです。

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葬送の計画への影響がある

通常、医師の死亡診断書が発行されない状況(病院以外の場所で死亡など)で亡くなった方は、警察が遺体を預かり身元や身体的特徴を記録したり、死因や事件性の有無を調査したりします。また、死因が特定できない場合や事件性が疑われる場合には遺体を解剖して、さらに詳しく調査することもあります。

遺体の損傷が激しい場合、身元確認や事件性の判断に時間がかかることがありますが、警察の調査が完了するまで、死体検案書と遺体の引き渡しがされないため、死亡届の提出や葬儀を執り行うことができないという問題が発生します。

また、遺体から異臭が発生していたり、容貌が変化していたりするため、葬儀の参列者が故人と最後のお別れをする…という機会を設けることが難しくなります。
この場合、衛生上の観点から先に遺体を火葬するなど、葬儀の計画変更を検討せざるを得ず、死後事務委任契約で葬儀や納骨に関する契約している人に関しては希望通りに契約が履行できないということに繋がります。

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不動産の原状回復トラブル

故人の居室が借家であった場合、家主としては当然、事故発生後の逸失利益や床材・クロス等物件の損傷について損害賠償を考えるでしょう。
賃借人が借家の居室内で病死し、賃貸人が建物の価値下落分について損害賠償を請求したという裁判事例では「漏水や病気等による借家での自然死については、当然に賃借人に債務不履行責任や不法行為責任を問うことはできない。」という判決が下されており、死因が自殺ではない限り、新たな入居者が決まりづらい、賃料を下げざるを得ないといった逸失利益への補償は必要ないとされています。とはいえ家主としては納得のいくものではないでしょう。

死後事務委任契約を締結している場合、原状回復費用の請求が発生すると解決までに相当の時間を要することとなり、精算をするにしても契約当初の想定から大幅な支出増となり、円滑な死後事務の執行に大きな影響を及ぼすこととなります。

孤独死による損害対策

いち早く異常が発生したことを関知する方法は、自宅への訪問や電話、メール、SNSなどを活用した安否確認をできるだけ頻繁に行うことになります。近くに家族や互いに安否確認をしあえるご近所付き合いがあればよいのですが、それがかなわない場合は安否確認を自動化・第三者に委託できるサービスを使うことを検討するといいでしょう。

見守り契約

高齢者や身体的な障がいを持つ人が自宅などで生活を送る際に、第三者が一定の時間帯に定期的に訪問して安否確認をする契約です。孤独死のリスクを下げ死後事務委任契約の実効性を高めることができます。
見守りサービスと言ってもサービス内容や費用は様々です。

日々決められた時間にサービス事業者から自動音声の電話、もしくはメールが配信されるサービスや、自宅内に設置されたセンサー機器の感知によって安否確認を行うサービスもあります。

利用料金や初期費用、インターネット回線の有無など様々な条件がありますので、自分のライフプランに合わせて選択するようにしましょう。

ウェアラブルデバイスの活用

最近では転倒検出機能や心拍数、血圧、体温の測定ができるものまで出てきています。実際にこういった機能を活用し安否確認ができるようになってきています。腕時計をつける習慣を持っている人には安価で安否確認ができるツールになりますので保険として活用を検討してもいいでしょう。

家主と協力体制を作る

安否確認に手を尽くしても死亡の発見が遅れ、物件に損害が発生する確率をゼロにすることはできません。最近では貸室で孤独死が発生した場合の遺品整理、原状回復費用、逸失賃料などを補償する家主向けの保険商品が少額短期保険会社や損害保険会社から提供されており、このリスクへの対応が可能になってきています。

死後事務委任契約を設計する段階で家主とも話して、死亡の発見が遅れた後のトラブル軽減に努めるのも一つの有効な手段と言えます。

まとめ

自分が死亡することでお世話になった人達に迷惑をかけたり、トラブルが発生する原因になることはできるだけ避けたいことでしょう。
しかし、おひとりさまおふたりさまが増加を続ける現代において避けることのできない未来であることは間違いありません。
こうした事実を念頭に入れ、家族関係やご近所付き合いを早いうちから見直すことが一番本質的で負担のない対策かもしれません。

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