遺産相続について

相続税|手続きの全て【初心者向け】

相続税

財産を相続する時、基本的には相続税という税金の支払い義務が発生します。
そして、相続税は納税までに期限があり間に合わなければ更なる税金の支払いが求められるのですが、書類の準備や相続財産の分配を話し合う必要があり時間に余裕があるわけではありません。

今回は相続を円滑に進めるために、手続きの流れや準備すべき書類、損をしないために知っておいた方がいいポイントなどをご紹介します。

相続税が課税される場合

相続財産の総額が基礎控除額を上回った場合、上回った金額に対して相続税が課せられます。
そして、相続財産の計算を行う際にはプラスの財産とマイナスの財産、全てを洗い出し計算するようにしましょう。

そして、マイナスの財産が多い場合は相続放棄を検討してもいいかもしれません。

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相続税を払わなかったらどうなる?

相続税の納付期限を1日でも過ぎてしまうとペナルティとして相続税額の5%(自主申告の場合)が無申告加算税として課せられます。

税務署からの確認が来るまで放置していたら20%、脱税が発覚したら40%とペナルティは悪質さに比例して増加します。

また、納付期限から遅れた日数分だけ延滞利息として、原則年利14.6%(2カ月以内は7.3%)もの延滞税が課せられます。

さらには、相続税の納税には連帯納付義務があります。
例えば、相続人が2人のうち1人は納付済みだったとしても、もう1人が納付していなければ納付済みの相続人に請求書が届くようになります。
なのでもし可能であればそれぞれの相続人の納付状況を共有し、把握しておきましょう。

相続税の申告について

相続人は相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内に相続税の申告を行わなければなりません。
期限まで十分に余裕があるように思うかもしれませんが、相続税申告書だけでなく様々な書類を取り寄せたり、相続財産を評価する手間もあり時間がかかりますので早めに取り掛かるようにしましょう。

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相続税申告のやり方

相続が発生したらまず初めに相続財産をすべて把握しましょう。
同時並行で相続税申告書を入手します。最寄りの税務署の窓口で入手するか、国税庁のホームページからダウンロードしましょう。

次に相続財産の金額や評価額を明確にし、申告書の第1~2表を使用し相続税の計算を行います。(申告書は第15表まであります。)
そして、相続税が明確になったら控除を差し引いて最終的な相続税を算出し、申告書を完成させます。(申告書の書き方がわからない場合は税務署で教えてもらいましょう)

申告書以外の必要書類も揃ったら提出するだけとなります。

相続税の申告は、各個人でも行うことができますが、1枚の申告書に相続人全員が署名・捺印をし、その下に相続人それぞれの納税額を計算・記載して提出するのが一般的です。

相続税の申告に必要な書類一覧

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで戸籍謄本一式)
  • 相続人の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票(特定移住用宅地等の減額特例を適用するのであれば相続人の住民票も必要)
  • 各相続人の印鑑証明書
  • 預貯金・有価証券・借入金などの残高証明書(相続開始時点での残高が証明できる資料)
  • 生命保険金・退職手当金などの支払証明書
  • 不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)
  • 測量図や地形図
  • 固定資産評価証明書
  • 相続人全員のマイナンバーカード裏表の写し(もしくはマイナンバー通知カードの表面の写しと免許証などの身分証明書の写し)

相続税申告書の提出先

申告書の提出先は、被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署になります。
それぞれの相続人の住所地ではないのでお間違いのないように。

申告をする人

配偶者や血族などの法定相続人だけではなく、受遺者も相続税の申告対象者です。
※受遺者とは遺言によって相続財産を遺贈された人です。

相続税の納付について

また、相続税の納税期限も深刻と同じく10カ月以内となっています。
相続税の納税は原則として現金での一括納付になっていますのでお金の準備も必要です。

相続税納付書の入手方法

相続税の納付書の入手方法には以下の二つがあります。

  1. 税務署の窓口で作成
    被相続人の居住地の所轄税務署名、相続人の住所・氏名、被相続人の死亡年月日を伝え相続人全員の分を依頼します。
  2. 被相続人の居住地の所轄税務署に電話で依頼し、納付書を郵送してもらう
    相続人全員分を依頼しましょう。

相続税の納付場所

相続税を納付する場所にはいくつか選択肢があります。
銀行や信用金庫などの金融機関で現金による納付手続きができます。

ちなみにネットバンキングで納付することも可能です。
ただし事前に国税庁のホームページ上でe-Taxに登録を行い、利用者識別番号を取得し、暗証番号などを登録する必要があります。

また、国税庁ホームページの国税お支払いサイトからクレジットカードによる納付も可能ですが、1万円当たり80円の手数料がかかります。

また、相続税の申告書を提出することで、税務署でも現金による納付手続きができます。

コンビニエンスストアでの納付も可能です。
ただし、事前に税務署にバーコード付きの納付書を貰う必要があり、かつ30万円以下の納税に限定されています。

相続税の負担を軽減する方法

相続税を軽減する方法として控除や特例があります。
税務署で申告書の書き方の助言を得ることはできますが、納税額が減額される特例や控除の活用については基本的に教えてもらえません。

知らず知らずのうちに損をしないためにも以下の物については基礎知識として備えておきましょう。

ちなみに、控除や特例を活用し相続税を払わなくてよくなった場合でも申告書の提出は必要なので注意しましょう。

基礎控除

計算式:3000万円+(600万円×法定相続人の数)
上記の計算で算出された金額を相続財産の合計金額から差し引くことができます。

負債を引く

相続財産の合計金額を計算する時に負債はマイナスの財産として計算に入れましょう。
そうすることで相続財産の合計金額を安くすることができます。

葬儀費用を引く

相続税の合計金額を計算する時に葬儀や埋葬にかかった費用を差し引くことができます。
そうすることで相続財産の合計金額を安くすることができます。

配偶者の税額軽減

配偶者は1億6000万円、もしくは法定相続分のどちらか高いほうまでの控除を受けることができます。

未成年者控除

計算式:10万円×(18-年齢)
満18歳未満の未成年者に関しては上記の計算式で算出された金額を控除することができます。

障害者控除

該当する区分に合わせた計算式で算出された金額を控除させることができます。

  • 一般障害者:(85歳になるまでの年数)×10万円
  • 特別障碍者:(85歳になるまでの年数)×20万円

相次相続控除

10年以内に2回相続が発生した場合、相続税を2回分払うことになり、負担が大きくなるため控除が設けられています。

贈与税額控除

相続発生から3年以内に贈与を受けていて贈与税を払っていた場合、贈与財産は相続税の課税対象になるので相続税から支払い済みの贈与税額を差し引くことができます。

外国税額控除

海外に財産を所有ており、その財産の相続税を現地の方で支払っていた場合、日本での相続税額から差し引くことができる。

小規模宅地等の特例

土地や建物を相続したが、相続税が支払えず手放してしまうことを避けるために設けられた制度です。土地の評価額を減額できるので相続税が安くなります。

  1. 特定居住用宅地等
    【条件(いづれかの一つに該当)】
    ・被相続人の配偶者が土地を相続する
    ・被相続人と同居していた人が土地を相続する
    ・被相続人に配偶者も同居人もいない場合、3年間借家住まいの相続人が取得する
    【減額率と適用面積】
    減額率は80%、適用面積は330平方メートル
  2. 特定事業用宅地等
    【条件】
    ・相続開始前からその土地で事業を営んでいる
    ・相続税の申告終了まで事業用の土地として使用
    【減額率と適用面積】
    減額率は80%、適用面積は400平方メートル
  3. 貸付事業用宅地等
    【条件】
    ・相続開始前から土地の貸し付けをしている
    ・相続税の申告終了まで貸し付けを行っている
    【減額率と適用面積】
    減額率は50%、適用面積は200平方メートル

相続税が払えそうにない場合

相続税額が10万円を超え、預貯金などの換金性の高い財産少ないなど、現金で一括納付することが困難な場合、納税者には「延納」や「物納」という選択肢があります。

延納の場合

有価証券や不動産などの担保を提供することにより、年譜で納付することができます。
ただし、事前に税務署への相続が必要で、延納期間中は利子税を納付しなければなりません。

延納期間は相続財産のうち不動産が占める割合によって異なってきます。

  • 不動産の占める割合が50%未満の場合は、延納期間は5年以内、
  • 50%以上75%未満の場合は動産にかかる相続税額の延納期間は10年以内、不動産にかかる相続税額の延納は15年以内
  • 不動産が75%以上の場合は、動産にかかる相続税額の延納期限は10年以内、不動産にかかる相続税額の延納期限は20年以内

物納の場合

延納制度を利用しても納税することが難しかったり、現金での納付が困難になった場合に限り、相続した財産(不動産など)を現物のまま相続税の支払いに充てることが可能です。

しかし、期限は通常の納付と同じく相続を知ってから10カ月以内で物納申請書などの関係書類を準備し、物納を認めてもらうための厳しい条件をクリアしなければなりません。

ちなみに、現物納付となる財産の価額は相続税の計算の基礎となった財産の価額になり、かつ、小規模宅地等について課税価格の特例適用を受けた相続財産を物納する場合には物納の価額は特例適用後の価額となります。

税務調査を受けることになってしまうケース

相続税の申告をした人の中でおおよそ1割の人に対して税務調査が行われています。

ちなみに、税務調査の方法は税務署の職員が直接自宅までくる実地調査か、電話などで税務署まで呼ばれて行われる簡易的な調査の2パターンです。

もちろん調査の対象にはなりたくないですよね?
しかし、申告書の計算に誤りがあったり、相続した遺産が多いはずなのに相続税の申告書が提出されていない、相続人が自分で申告書を作成して税理士が関与していないなどのケースだと税務調査が入りやすくなります。

この他にも死亡届を出した後に相続税の申告をしていないと当然税務調査を受けることになります。(死亡届を提出すると役所の方から税務署に連絡が入ります。)

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