終活全般

終活|尊厳ある生のための人生会議【アドバンス・ケア・プランニング】

尊厳ある生とは一体何だと思いますか。

死に様は生き様であると言えます。

自身の将来のために、家族のために、病気などのもしもの時に備えて「人生会議」をしませんか?

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは

ACP(Advance Care Planning)とは?

元はアメリカ発祥とされています。

厚生労働省は、自身の将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、 本人を主体に、そのご家族や近しい人、医療・ ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援する取り組みのことと説明しています。

つまり、もしものときに、どのような医療やケアを望むのか、前もって考え、家族や近しい人、医療・介護従事者たちと繰り返し話し合いを行い共有することですね。

人生会議とは何か?

厚生労働省が付けたACPの愛称です。

ACPとは単なる終末期の治療方針だけでなく、自身がどのように生きたいのか、何を一番重視するのかを決めていくことも含まれます。

アドバンス・ケア・プランニングを実施するタイミング

タイミング

ACPを実施するタイミングはいつ頃が適切なのでしょうか。

  • 病気の診断をされた時
  • 病気が進行した時
  • 軽い認知機能の低下が診断された時
  • 終末期(ターミナル期)に差し掛かった時

不治の病や重病の診断をされた時、またはそういった病気が悪化した時、自己判断ができなくなってきた時などがその時と言えるでしょう。

時期が早すぎると具体性と真剣さに欠ける可能性がありますし、遅すぎると意思表示ができない可能性が出てきます。

終末期(ターミナル期)とは

終末期という概念や言葉については、公的に明確な定義はなされていません。

そのため、定義する人によって終末期の意味合いは異なってきます。

一般的には、病気が治る可能性がなく、数週間~半年程度で死を迎えるだろうと予想される時を指します。(諸説あり)

延命治療を行わず、苦痛を和らげ、質の高い時間を送ることを念頭においたケアのことを終末期医療(ターミナルケア)と言います。

アドバンス・ケア・プランニングの実情や問題点

厚生労働省も推進しているACPですが、一切の問題がないわけではありません。

今後の課題が残されている一面もあります。

  • 本人が明確に将来を予想することが難しい
  • いざという時でないと体を傷つける処置や薬の投与によって起こる重篤な副作用などを受け入れられない
  • 実際の医療と患者の希望に乖離があり、治療に活かすことができない
  • 医療従事者はACPの話し合いを避ける傾向がある

いざ、その時になると自身の治療への希望が変わる可能性もあり、事前の意思表示の通りにするのが適切とは言えない場合もあるのです。

【参考文献】

木澤 義之(2019).「ACPの問題点」.アドバンス・ケア・プランニング Advance Care Planning(ACP):定義.https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000173561.pdf,(参照2023-10-27)

意思表示の書面の準備

「リビングウィル」をご存知でしょうか?

元は英語で「living will」、事前の意思表明という意味です。

事前指示書(advance directive)とも言います。

死に直面した時、自らの意思で延命治療を拒み、尊厳死を迎えようとする考え方を表明することです。

または、その逆もあります。

他にも葬儀の方法や臓器提供の意思の可否などが対象となることが多くあります。

リビングウィル(事前指示書)の記載内容

特に記載内容に決まり、規定はありませんが、大まかに下記の項目のような内容を記載します。

  • 延命治療を希望するかどうか
  • 胃ろう、人工呼吸、心肺蘇生、人工透析などを希望するかどうか
  • 痛みの緩和ケアに関して希望するかどうか
  • 作成日
  • 自身の署名捺印
  • 証人の署名捺印
  • 緊急時の連絡先

リビングウィルはあくまで現在の意思表明であり、変更や撤回はいつでも可能です。

定期的に見直す時間を取ってみましょう。

リビングウィルを用意しただけではいざという時に活用できません。

事前にその内容に対して、家族と話し合っておくことが重要です。

まとめ

ACPについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

自身のQOLの向上はもちろんのことですが、ご家族の希望や気持ちも事前に汲むことができるのがACPのメリットであると言えます。

まだまだ人の死にまつわる事柄はタブー視されることも多いですが、ネガティブに捉えるのではなく、大切な存在の意思や希望を尊重し、充実した人生を共に歩む意味で、積極的に話し合っていきたいものですね。


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