人生の終盤で重篤な病気にかかった時、皆さんは延命治療をしますか?それとも自然の成り行きに身を任せたいですか?
もし万が一の時でも理想の最後を迎えたい場合はそれなりの準備が必要です。
今回はどのような方法で準備を進めていけばよいのかをお伝えします。
尊厳死宣言とは
末期がんなどの重篤な病気にかかったり、脳死のような明確な意思表示ができない状態に陥った時など、人生の最終盤(終末期)には、尊厳死宣言が重要な役割を果たし多くの場合は尊厳死宣言書という書面で残します。
尊厳死宣言書とは、患者本人の治療方針について「回復の見込みのない末期状態に陥った時、死期を伸ばすだけの過剰延命治療は控えてほしい」という希望を、家族あるいは医療従事者向けに伝えるものです。
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どんな人にニーズがあるの?
単身者で子供もいない、親兄弟はいるけど自分と同じく高齢でどっちが先にこの世を去るか分からない…
このような状況下でも人生の終末期を自然な形で迎えたいと考えている方の多くが尊厳死宣言書の作成を検討しているようです。
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尊厳死宣言書に法的拘束力はあるのか?
法的拘束力はありませんが、医療従事者の間では、患者本人の意思を尊重し、尊厳死を容認しようという動きが大勢を占めていると言われています。
尊厳死宣言はあくまでも患者本人(依頼者)の意思表示であるため、誰かが何らかの義務を履行する性質のものではありませんが、最後の希望を実現するためのツールとしては有効です。
尊厳死宣言書の作成方法
尊厳死尊厳書は様式は定まっているわけではありませんが、真正性の確保という面から、尊厳死宣言公正証書として作成することが基本です。
もちろん自筆で書き残しておくことも可能で、エンディングノートに書き残している人もいますが、自筆の証明が難しいです。
誰に頼む?
弁護士をはじめ司法書士、行政書士、公証人役場と選択肢は多いのですが、相談したいわけではなく、自分の気持ちや意志をシンプルに書面に書き起こしたいだけであれば公証役場がオススメです。
費用は?
尊厳死宣言公正証書を公証役場で作成する時の手数料は11,000円が基本となっています。
弁護士等を通して作成を行う時には10万円前後かかってくることもあります。
作成時に必要なもの
尊厳死宣言書を公証役場で作成する時には本人確認のために下記のうちいずれかの物を持参しましょう。
- 印鑑登録証明書と実印
- 運転免許証と認印
- マイナンバーカードと認印
- 住民基本台帳カードと認印
- パスポート、身体障害者手帳または在留カードと認印
作成時に考慮すべきこと
尊厳死宣言書を作成する前に、家族がいれば尊厳死を考えていることを伝え、可能であれば認めてもらっている状態にしましょう。
また、持病のある方は病気の種類や身体の状態によっては継続する必要のある治療がありますので担当医にも相談をしましょう。
そして、医療機関側がリスクを回避したいがために尊厳死宣言書通りの処置を拒むことがあります。
そうならないためにも、医療機関と医師に責任を一切負わせないことを明記しておくとスムーズに対応を進めることができます。
尊厳死宣言書の作成後
尊厳死宣言書を作成した後は原本を公証役場の金庫に保管し、謄本は自分で保管、抄本は親類縁者やお世話になっている介護福祉士等に渡しておくとよいでしょう。
受任者が注意すべきこと
健康上何も問題のない時期と病気で死期が迫った時期とでは、依頼者の尊厳死に対する考え方が変化することがあります。
尊厳死宣言をしている場合でも、念のために意思確認を受任者は行うようにしましょう。