正しい健康情報について

グリーフワークとコーピングによるケア

大切な人との死別、それは誰しも平等に訪れるものですが、その事実は大きな悲しみとなり、心身への負担となります。

いかにして心の中を整理し、乗り越えて生きていくか考えてみたことはありますか?

グリーフとは

大切な人を失い体験する喪失、それによって起こる様々な反応を「グリーフ(悲嘆)」と呼びます。

大切な人との別離は、誰しも起こり得ることですが、その悲しみとどのように向き合っていけばよいのか、その方法や考え方などを紐解いていきます。

グリーフの症状

心の反応

悲しさ、寂しさ、落ち込み、苛立ち、罪悪感、自責感、無力感、現実感の喪失

体の反応

不眠、食欲低下、体力低下、頭痛、呼吸のしづらさ、声が出しにくい、疲労感、肩こり、めまい、動悸、下痢、便秘、胃腸不良、血圧上昇、自律神経失調症、体重減少、免疫機能低下

行動の反応

泣く、ひきこもる、依存、過活動、現実逃避、回避行動

グリーフワーク、グリーフケアとは

グリーフワークとは、大切な人を亡くした悲しみや苦しみを乗り越え、もう一度人生を構築しようとする作業です。

グリーフワークは容易に行えることではありません。

そのため、死別を経験し悲しみを抱える人に寄り添い、サポート・ケアするグリーフケアが存在します。

グリーフワークのやり方

失った現実や悲しみを受け入れる

事実を受け入れ、自身が悲しみを抱えていることを感情的にも受け入れることから始まります。

向き合うことは辛いことですが、少しずつ始めましょう。

悲しみを消化していく

故人の写真や持ち物などを見たり、思い出を想起して感情を蘇らせることや、静かに自身の気持ちと向き合い見つめること、そして、親しい人などに気持ちを話すことで徐々に悲しみを消化していきます。

キューブラーロスの悲しみの5段階モデル

米国の精神科医エリザベス・キューブラー・ロスの著書「死ぬ瞬間」には、人が死を受容するまでの様子がありありと描かれています。

下記の5つの心理的段階を経て、人は死を受け入れるのです。

第1段階:否認

第2段階:怒り

第3段階:取引

第4段階:抑うつ

第5段階:受容

第1段階は、事実に衝撃を受け、頭では理解しようとしているが、感情的にその事実を否認している状態

第2段階は、事実は受け入れられたものの、何故自身にこんなことが起こるのかという怒りの感情にとらわれる段階

周囲の人に怒りをぶつけてしまい、影響を与えることも多々起こり得る

第3段階では、信仰心の有無にかかわらず、神や仏にすがり、事実がどうにか変わらないか、奇跡が起こらないかといった考えに支配され、何とかその方法を模索したりする

第4段階は、どれだけ祈っても努力しても死は避けられないものと悟り、諦めや悲観、絶望に打ちひしがれ、憂鬱な気持ちになる段階

感情面でも事実を受け入れられるようになるが、信仰の否定など虚無感に襲われることもある

第5段階では、前段階で否定していた死を、誰にでも訪れるものとして受け入れられるようになり、心穏やかに過ごすことができる

必ずしもこの通りに段階を踏むわけではなく、比較的早い段階で受容される方もいれば、この段階を行ったり来たりして葛藤する方もいます。

ストレスコーピングによるケア

ストレスコーピングとは、メンタルヘルス用語でストレスに対処するための行動を指します。

ストレスの原因の解消や負担の軽減を目的として、何らかの行動を起こすことを意味し、仕事や人間関係のストレスだけでなく、大切な人を亡くした悲しみやストレスの緩和にも役立ちます。

米国の心理学者リチャード・S・ラザルスによって提唱された理論です。

ストレスはストレッサー、認知、ストレス反応の3つの要素からなりたっています。

ストレス反応を起こす外部環境からの刺激である「ストレッサー」、無意識下で対処可能か判断する「認知」、イライラ、憂鬱など心身の反応である「ストレス反応」。

この3つの流れをしっかりと理解し対処方法を考える作業を行うのがコーピングです。

リラクゼーションや気晴らしなどの一般的な方法だけでなく、ストレスをどのようにとらえて向き合うかという「認知」の手法も含まれています。

このストレスコーピングの方法を用いることで、ストレスのコントロールがしやすくなり、心の健康に繋がるのです。

ストレスコーピングの方法

問題焦点型

問題焦点型は根本的な解決を目指して、問題そのものに働きかける方法です。

原因を排除しストレスの解消を目指します。

具体的には、職場の人間関係に悩んでいるので環境を変えるために転職する、仕事が合わないと感じるので担当業務を変えてもらうなどです。

注意点は、対処方法が分かっても実行に移せない時に、そのこと自体が新たなストレスになりえる可能性があります。

情動焦点型

問題そのものに働きかけるのではなく、問題に対する自身の考え方、感じ方を変えていく方法です。

誰かに話を聞いてもらったりすることでストレスをなくすことが目的です。

具体的には、親しい人に相談する、専門家のカウンセリングを受けるなどです。

注意点は、この方法はストレスの原因を断つことにはならないので、問題の根本的解決には至りません。

あくまで、問題焦点型コーピングと同時進行しながら、精神的苦痛の緩和のため行うと良いでしょう。

ストレス解消型

ストレス解消型とは、問題から離れストレスを追い出し発散する方法です。

「気晴らし型」と「リラクゼーション型」に分けられます。

気晴らし型の例は、親しい友人と美味しいものを食べに行ったり、何処かに旅行したり、運動や趣味、買い物を楽しんだりなどが挙げられます。

リラクゼーション型は、瞑想やヨガ、アロマテラピー、マッサージなどで心身をリラックスした状態に整えます。

コーピングでのケアは下記のようなメリットもあります。

  • 心身の健康を維持できる
  • 仕事に対するパフォーマンス向上、モチベーション維持

〈関連記事〉

身近に潜むセルフ・ネグレクトの危険・・・ – SHUKATSU!

まとめ

グリーフワークとコーピングによるケアについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

死による離別は誰にでも訪れるもの、その時はいつ来るのかは誰にも分かりませんが、この記事が一助になればと思い取り上げました。

日常、非日常にかかわらず、自身を大切にしてあげることは、すなわち亡くした人をも大切にすることに他ならないのではないでしょうか。

〈関連記事〉

【大人の葬儀マナー】もしもの時に備えておこう – SHUKATSU!

終活|旅立ちの時こそ美しくありたい【エンディングドレス】 – SHUKATSU!

LINE相談