世帯主が亡くなった時は世帯主変更手続きを行わなければなりませんし、健康保険の手続きも通常より手間が増えます。
また、健康保険は種類によって手続きが異なります。扶養家族が困らないように速やかに手続きを済ませましょう。
世帯主変更届(不要の場合もある)
亡くなった人が世帯主で、残された15歳以上の世帯員が2人以上いる場合は世帯主変更届をする必要があります。
新世帯主が直接手続きをしなくても大丈夫ですが、世帯員以外の代理人が手続きを行う場合は委任状が必要です。
亡くなった人の居住していた地域の役場に印鑑と本人確認書類を持って14日以内に手続きしましょう。(14日を過ぎると5万円以下の過料が課せられます)
各種保険の資格喪失手続き
健康保険には個人で加入する国民健康保険と会社で加入する健康保険の2種類があります。
それぞれの違いについて手続きも含めて確認していきましょう。
国民健康保険等の加入者だった場合(14日以内)
亡くなった人の住所を管轄する役場の窓口にて国民健康保険資格喪失届を行うことになります。
届出の要旨は役場のホームページか窓口にて入手可能です。
手続きを行う際は役場や手続きを行う人など様々な条件で変わってきますが、死亡を証明する書類(火葬許可証、死亡診断書)、旧世帯主と新世帯主のマイナンバーが分かる書類、印鑑、返却する国民健康保険被保険者証(70~74歳は国民健康保険高齢受給者証)が必要となってきます。
手続きを行う際は一度、管轄の役場窓口に確認してみましょう。
もし亡くなった国民健康保険の加入者が世帯主であった場合は世帯員全員分の保険証を返却し、新しい保険証を発行してもらう必要があります。
世帯主変更届については、前項で紹介した通り状況に応じて自動で変更される場合もありますので役場窓口にて尋ねてみましょう。
75歳以上で後期高齢者医療制度を利用していた場合は後期高齢者医療資格喪失届を提出し後期高齢者医療被保険者証を返却します。
その他にも介護保険被保険者証、限度額適用・標準負担額減額認定証、特定疾病療養受領証などもあれば返却しましょう。
地域によっては死亡届を出すだけでその他の資格喪失届が不要になり、返却物の返却だけで済む場合もあります。
会社の健康保険に加入していた場合(15日以内)
国民健康保険の場合は届出の期限が死亡日から14日以内ですが、会社員の加入する健康保険の場合は5日以内に事業主の方から、事業所の所在地を管轄する年金事務所に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」「厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」を提出してもらう必要があります。
できるだけ速やかに死亡の事実を勤務先に連絡しましょう。
加入者と扶養されていた家族の健康保険被保険者証は勤務先に返却しましょう。
それと同時に、死亡退職届の提出や会社の指示に従い返却する必要があるものを返却していくことになります。
また、未払いの給与の精算や退職金・社内預り金の受け取り、自社持ち株の精算を行う必要があります。
遺族厚生年金の請求を会社が行う場合には会社から求められる書類の提出を行っていくことになります。
退職金を受領した場合には、源泉徴収票を会社から受け取ります。
年金手帳を会社が保管している場合は受け取るようにしましょう。
故人の扶養に入っている人の国民健康保険の加入や変更手続き
健康保険証は死亡の翌日から使えなくなります。
したがって扶養者が亡くなった場合は14日以内にご自身の居住地の役場で国民健康保険に加入するか、近親者に会社勤めをしている人がいれば、その扶養に入るという方法もあります。
後者の方法を選ぶことによって手続きは会社の方で行ってもらえるようになり、保険料の支払も免除されます。
介護保険資格の喪失手続きを行う
亡くなった人が介護保険に加入していた場合、死後14日以内に介護保険の資格喪失の届出を行う必要があります。
ただし、手続きが必要なのは死亡した人が65歳以上の人(第1号被保険者)、または40歳以上65歳未満で健康保険に加入し要介護・要支援認定を受けていた人(第2号被保険者)の場合です。
提出する必要書類は、「介護保険被保険者証」、「介護保険資格取得・異動・喪失届」、「介護保険負担限度額認定証(交付を受けている人のみ)」、「保険料過誤状況届出書(還付金が発生する場合)」です。
管轄の市区町村役場によっては、印鑑や本人確認書類、マイナンバーが必要になることもありますので、事前に確認しておくと良いでしょう。
委任状があれば代行依頼可能
もし親族以外の第三者に保険関連の手続きをお願いしたい場合は代理人の本人確認書類と委任状があれば代行可能となっています。
代行依頼を考えている方は一度、手続きを行う役場へ電話で問い合わせて確認してみましょう。
手続きを行う時に必要になる費用
今回ご紹介した世帯主変更届と各種保険の手続きに費用はかかりませんが、これらの手続きには期限が設けられており、期限を過ぎてしまうと過料が課せられてしまうため、積極的に対応を進めていく必要があります。
しかし、急ぎ手続きを進めたくても、亡くなった親の保険証がなかなか見つからず期限を過ぎてしまうケースもありますので、あらかじめ保管場所を家族間で情報共有しておくことをおすすめします。