信託について

家族信託|基礎知識と4つの注意点【初心者】

家族信託は誰に対しても便利な制度だと思っていませんか?
しっかりとポイントを押さえておかないともしもの時に困ったことに…
今回の記事を通して家族信託についての正しい認識を持ち、利用するかどうか検討するようにしましょう。

家族信託について

家族信託とは信託法に則り、信託契約という契約を締結することでご家族に財産管理(管理・運用・処分)を信じて託す制度です。

例えば、親御さんが認知症になると不動産が売れなくなったり、預金が引き出せなくなるなどの問題が発生します。
そこで対策として注目されているのが家族信託です。

家族信託において財産を委ねる人を委託者、委ねられる人を受託者、管理・運用された財産から得られた利益を受け取る人を受益者と呼びます。
ちなみに受益者は委託者自身以外の第三者を指定することが可能です。

例えば、父親が委託者、お子さんが受託者、母親が受益者となるのも可能だということです。

お金を信託する場合

前述したとおり。親御さんが認知症になると親御さんの口座は凍結されますので解除するまでのしばらくの間、お金を引き出すことはできません。

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そうなると、介護費用や施設費用、入院費などが払えなくなるかもしれません。
したがって、あらかじめ信託しておく必要があります。
(※介護施設の入居などの契約は行えないため、身上監護が必要な場合は成年後見制度も検討しましょう。)

まず初めに信託契約を委託者が認知症になる前に締結します。
その後に、受託者が信託用の口座を開設し、その口座に委託者がお金を入金します。
入金した後は受託者の方で自由にお金の出し入れができるようになります。

そして、ここまでが完了した後に委託者が認知症になったとしても信託用の口座が凍結されることはありませんので、介護費用や施設費用などを払い続けることが可能です。

ただし、あくまでも受託者のお金になるわけではありませんので、委託者のためにだけ使用することになります。

自宅を信託する場合

次は不動産の中でも自宅の信託を考えたケースです。
親御さんが自宅を所有しており、将来施設に移る時に自宅を売却し施設費等に充てようとしてたとします。

しかしこの時に親御さんが認知症になると売却することができない問題が発生します。

なので、親御さんの判断能力がしっかりしているうちに、お子さんへ自宅を信託して名義人もお子さんにしておくことで、いつでもお子さんの判断で売却できるようにしておきましょう。

もちろん、売却して得たお金は一時的にお子さんが受け取りますが、親御さんの生活費などに充てることになります。

また、自宅を信託したとしても親御さんには自宅を使用する権利は残りますので住むことはできます。

家族信託を利用する時の注意点

注意点

家族信託は成年後見制度に比べるとコストがかからず、財産管理の自由度は高いです。
なので成年後見制度よりも好んで活用されることが多いのですが、注意しなければならないポイントがあります。

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信じて託せる人がいるかどうか

例えば成年後見制度の場合だと、報酬を支払うことで弁護士や司法書士などの親族以外の第三者に依頼することができます。

しかし、家族信託だと報酬はありませんので無報酬で面倒を見てくれる人がいる必要があります。

信託契約を締結してくれる人がいなければ、家族信託は利用できません。

受託者は義務を負うことになる

発生する義務は分別管理義務や善管注意義務、忠実義務などいくつか種類があります。
特に周知しておくべきものは

  1. 分割管理義務
    委託者と受託者の財産は明確に分けて管理する義務です。信託用の口座(信託口口座)を開設する理由になります。
  2. 信託帳簿の作成・報告・保存義務
    預かった財産の管理をどのように行っているのか帳簿に記載し、定期的に委託者へ報告しなければなりません。
    ちなみに、家族信託において手を動かすような作業はこの部分だけになります。

受託者は契約期間中は信託契約に拘束される

場合によっては20年、30年と長期間にわたって信託契約が継続することがあります。

信託契約は信頼関係のもと結ばれる個人間の契約なので、受託者が契約通りにいつまでも業務を行ってくれる保証はありません。

帳簿をなくしてしまったり、書くのをやめてしまうなどのリスクがあります。

信託できない財産がある

非常に便利な家族信託ですが、信託財産として認められない財産があります。

例えば不動産であれば農地、賃貸人が譲渡を承諾しない借地権、金銭であれば公的年金が信託財産として認められません。

信託に含まれない財産を管理してほしい場合は成年後見制度でカバーすることが可能です。

まとめ

信託契約は認知症になった時の財産管理の対策になります。
そして自由度が高いため成年後見制度とは違い相続対策などにも繋がってきます。

ただし、導入する時は認知症になる前になりますのでタイミングを誤らないように注意しましょう。

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