死後の手続きについて

遺言書|遺族が行う検認の流れ【開封前の注意】

皆さんは遺言書を発見した時に不用意に開封してはいけないことをご存じでしょうか?
どんな場合だと開封してはいけないのか、また開封する際の手続きの流れなどをご紹介します。
せっかく書き残した遺言書が無効になり相続の準備が台無しにならないようにしましょう。

遺言書の種類

遺言書は自分の死後の財産の分け方などを記載した文書で規定の書式に則り残すことで法的効力を持ちます。
相続財産の家族間でのトラブルを防いだり、相続手続きの手間を大幅に軽減することができるため非常に重要なものになります。
しかし、日本では遺言書を残す人は9人に1人というのが現状です。

  1. 公正証書遺言
    公証役場にて公証人と2人の証人立会いのもと作成。法律上の不備は確実に防ぐことができ、公証役場での保管になるので紛失する恐れもありません。デメリットは作成に手間がかかることと、手数料がかかる点です。
  2. 自筆証書遺言
    自分自身で作成した遺言書です。遺言書に添付する財産目録などはパソコンで作成できるようになっています。また、保管方法は任意ですが法務局に預けることも可能です。
  3. 秘密証書遺言
    公正証書と同じく公証役場で作成しますが、遺言内容は公証人にも知られることはありません。しかし、文書の形式に不備があると遺言書として認められないなどの理由から、あまり利用されていないのが現状です。

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遺言書を探す場所

遺産分割協議で相続財産の分割が決まった後に遺言書が出てくると手続きが最初からやり直しになることがあります。
無駄な手間が発生することを防ぐためにも、必ず遺産分割協議を行う前に遺言書を探しましょう。

  • 自宅…タンスや金庫、ベットの下など思い当たる場所全てを探しましょう
  • 公証役場…公証役場を通して遺言書を作成している可能性があります
  • 信託銀行…遺言信託を利用して遺言書を作成している場合があります
  • 貸金庫…銀行の貸金庫に預けている可能性もあります

上記の他にも友人などに預けている可能性があります。
遺言書を残す時はどこに保管しているかを親族に伝えることをお忘れなく。

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遺言書検認について

3種類ある遺言書の中でも自筆証書遺言と秘密証書遺言の2つに関しては、開封をする時に第三者の立ち合いのもと確認を行いながら開封する必要があります。
自筆証書遺言を見つけ、遺族の判断で勝手に開封をしてしまうと偽造を疑われて効力を失う恐れがあるため、そういったことを防ぐために検認という手続きがあります。

検認の流れ

遺言書検認申立書を相続人との関係を証明する戸籍謄本の一式と一緒に家庭裁判所へ提出し、検認を行うことができます。

申し立ての後に家庭裁判所から検認期日の通知が届きます。その後、家庭裁判所で相続人立ち合いのもと、開封を行い検認となります。検認済み証明書を申請し、検認済証明書付きの遺言書を受領し開封完了となります。

遺言書検認申立書は各家庭裁判所の窓口かウェブサイトから入手が可能です。また、申立の費用は収入印紙代800円と連絡用の郵便切手代となります。

自筆証書遺言でも検認不要になる

2020年7月10日から自筆証書遺言の法務局保管制度が始まっています。
これは自筆証書遺言の欠点であった、紛失や改ざんのリスク、形式不備による遺言書の無効を補うことができる制度です。

自分で作成した遺言書を法務局に預けて保管をしてもらうことができます。提出する際に形式のチェックを受けることができたり、法務局での保管であるため受け取る時に検認が不要になります。
公正証書遺言書も形式の不備を防ぎ、開封時の検認不要で安心できる方法ではありますが、書き換える時に手数料がかかる点が大きなデメリットになります。それに対して法務局保管制度の場合は申請手数料が3,900円と安い費用で済みます。

また、自分が死亡した際には法務局から指定された人に保管通知が届くようになっていますので遺言書を探す手間もかかりません。

自分に合った遺言書を選ぼう

遺言書の残し方はいくつかありますが絶対にこれがいいというものではありません。それぞれのメリットデメリットを理解したうえで最適な方法を選ぶようにしましょう。

また、自筆証書遺言を自分で保管する場合はエンディングノートなどを活用して遺族が見つけられるように配慮することをお忘れなく。

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