相続人の中に『あいつには、1円たりとも相続させたくない!』という方がいらっしゃるケースもあると思います。
しかし、遺言で、別の相続人に全ての財産を相続させると書いたとしても、
相続人には最低限の相続権利である遺留分があります。
(被相続人の兄弟姉妹、またその代襲相続人である甥・姪には遺留分はありません。)
でも、その遺留分をできるだけ少なくしたい。
そのようなことが実はできるのです。
この度は、遺留分対策の方法について「外す、薄める、棄てさせる」の3つのポイントに絞り解説していきます。
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外す
相続財産の対象とならないように、財産を相続人に渡す。
具体的には、生命保険の受取人として財産を渡す方法があります。
生命保険金は、受取人の固有の財産と考えるので、相続財産ではありません。
生前に被相続人が貯金から生命保険にお金を移します。
その後、相続になれば、移したお金分ほど被相続人の相続財産が減り、結果として遺留分を減らせることにつながります。
ただし、遺留分について過去の裁判では、全財産の半分ぐらいを生命保険に移した方が、遺留分対策として生命保険に加入しただけであり、遺留分に含めるべきだとした判例があります。
極端な金額にすると、遺留分対策にならないので気をつけましょう。
薄める
養子をとるなどし、1人あたりの遺留分を薄める。
養子にとれる人数は、民法上は制限がありません。
(相続税法上は制限があります)
養子にとるだけ、相続人の数が増えます。
結果として、1人あたりの法定相続分も減っていき、その2分の1である遺留分も減っていきます。
ただし、このケースでは、絶対に相続させたくない相続人の遺留分を薄める代わりに、たくさんの相続人を作り出してしまいます。
当然、養子にも遺留分がありますので、新たな問題が発生しないとも言い切れません。
また、単に遺留分対策としての養子縁組であれば、縁組の意思が無かったとして、遺留分対策が不発になる可能性もあります。
棄てさせる
遺留分は、生前に放棄することができます。
ちなみに相続放棄は相続発生後でなければ出来ません。
この、生前に相続人に遺留分を放棄してもらう方法はハードルが高いと言えます。
通常は、遺留分を放棄してもらう代わりに金銭等を支払います。
そして、遺言では遺留分のことを考えずに書くことができるので、スムーズな相続となるのです。
最後に
このように遺留分は、様々な方法で対策できます。
しかし、本来的には遺留分は相続人の最低限の権利です。
結果として遺留分を少なくする方法はあるにせよ、やりすぎは認められないこともある点についてはしっかり覚えておきましょう。
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