実家を相続した時の注意点について、引き続きご紹介します。
よく考えて相続しないと余分にお金がかかる可能性があったり、相続した物件が売れないことが・・・・
今回は相続タイミングの見極めについて詳しくご説明します。
両親が住んでいた実家を売却するときの落とし穴
父親が先に亡くなり、とりあえず実家には母親が住んでいるし、相続税がかかるほどの財産もないため、父親の相続発生時に全ての財産を妻(母親)に相続させようと考える子供は少なくありません。
そのこと自体、決して悪いこととは言いませんが、気をつけておくべきポイントが2つあります。
①費用面でのデメリット
まず1つ目は、不動産に対する登記が父親→母親→子供となることで、登記費用が2回かかるため、費用面でのデメリットがあります。
②不動産売却ができなくなる可能性
2点目は、不動産売却ができなくなる可能性です。
母親が1人でそのまま実家に住み続けることはよくあることですが、すでに築年数もそれなりに経過し、老朽化しているため、リフォームすべきか迷うということは考えられます。
「自分が亡くなった後は、子供たちは実家には住まないだろうし、そんな家をわざわざリフォームするのも勿体ないし、自宅を売却して施設にでも入ろうかしら。」
と考えるのです。
しかし、時間が経つにつれて、母親の判断能力の衰えが見えてくるのです。
認知症になるとできなくなることの1つとして、不動産の売買契約など契約行為が挙げられます。
この場合、成年後見制度を利用し、成年後見制度が家庭裁判所に「居住用不動産処分許可」の申し立てをして許可を得る必要があります。
成年後見制度の利用自体に費用面での負担が重いというデメリットがある上に、
もし、ここで申し立てが却下された場合には親が住んでいた自宅は空き家のまま放置される可能性があります。
このような事から、最初の父親の相続時に、先を見越して対策をしておいた方が良かったのです。
相続税対策として小規模宅地等の特例、居住用財産(空き家)を譲渡した場合の3000万円の特別控除などの活用を検討しつつも、将来的なリスクも考慮しておくべきでしょう。
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まとめ
現在、人生100年時代と呼ばれる中で、100歳以上の高齢者の数は約10万人もいます。
「老老介護」「老老相続」はこれからの時代は当たり前のようになってくるでしょう。
2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると言われています。
親ではなく、相続人がすでに認知症になっているケースも想定されます。
相続対策、死後の手続き、遺産分割協議などができなくなるかもしれません。
一般的に相続対策は、相続の時に揉めないように遺言書を作成したり、相続税の納税資金を準備したり、納税額そのものを減らすための税金対策が主流です。
しかし、これからの相続が起こるまでの期間や、相続人の年齢も考えた備えが必要です。
具体的には、民事信託、任意後見制度、死後事務委任契約の活用も積極的に考えてみましょう。
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