終活全般

終活|終活で知っておくべきこと【6つの柱】

終活

終活は気になるけども法律や制度が関わってきて、難しそうで取っ付き辛いと思ったことはありませんか?
今回は終活を進めるにあたり基本となってくる医療、介護、保険、相続、葬儀、お墓について、どういったことを押さえておかなければならないのかということを中心に簡単に説明していきたいと思います。

医療

現在、高齢者医療を考えるにあたってあらかじめ決めておきたいのは、自分らしく人生を終えるために最後をどう迎えたいかです。
いま、病院ではなく住み慣れた自宅で最期を迎えたいという人が増えています。無理な延命治療はせず、とはいってもあまり苦しい思いをしないですむように、緩和ケアをしてもらい自然に消えるように逝きたいと考える人は多いです。

もし、在宅を希望するのであれば、通院、もしくは入院している病院から在宅で診療をしてくれる在宅医に切り替えることが必要になります。

ずっと外来診療を受けてきて、最後の最後で「逝くときは自宅で」というのはまず受け入れてもらえません。
そのため、最後を迎えるのは自宅なのか病院なのかをご本人に決めていただき、自宅を希望するのであればそれに向けて準備を進める必要があります。
ですからその意思表示は事前に行う必要があります。

また、延命治療の希望に関しても、ご自身の意思がはっきり分かる形で家族に伝えておきましょう。
できればエンディングノートなどにその旨を書いておくことをオススメいたします。

例えば、痛みを取り除くこと、終末期になった時の心臓マッサージ、人工呼吸器、胃ろう、鼻チューブ、点滴への希望など分かる範囲でいいので書いておくとよいでしょう。

場合によっては子供たちは延命しないという本人の意思を分かっていたけれども、本人の兄弟たちにアナウンスしていなかったために反対されることもよくあります。
日頃あまり親しくなくよくわかってもいないのに、口だけ出してくるなんてこともあるのです。
そうならないように、口出ししてきそうな人には本人の口から「延命治療はしないと決めた」と伝えておくことも大切です。

なお、医療機関への対策としては延命治療を拒否する尊厳死宣言書を公正証書で作っておくとよいです。

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介護

介護保険制度は2000年4月からスタートした保険制度で、住まいのある自治体が保険の運営主体となっています。

40歳以上の人が保険料を払って「被保険者」となり、介護が必要と運営主体である市区町村に認定された場合、費用の一部を負担することで介護サービスが受けられる仕組みです。
65歳以上の人は介護保険の代1号被保険者となり、寝たきりや認知症などによって介護を必要とする状態、つまり要介護状態になったり、家事や日常生活に支援が必要な状態、つまり要支援状態になったりした場合にはサービスが受けられます。

介護保険を利用したい場合、先ずは市区町村の介護保険窓口もしくは地域包括センターに行き介護保険の申請を行います。
すると市区町村の認定調査員が介護サービスを受けたい被保険者の自宅を訪問して心身の状態を調査します。

さらに申請時に記載した主治医に病気やけがの状態のついて意見を求めます。
そしてコンピュータによって暫定的に要介護度の判定がなされ、最終的に認定調査員の調査や主治医の意見書を元に介護認定調査会による審査判定が行われます。
そこで、介護保険サービスを受けられるか否か、受けられる場合はどの要支援・要介護度に該当するかが決められるという仕組みになっています。

この介護においては、高齢者側ではなくて介護している側がしっかりと制度について理解をしておくことが大切になります。

また、高齢者本人が介護認定を受けること自体を嫌がったり、認定調査員の前でしっかりしているようにふるまったりすることがあります。
ですが認定調査員もそのことは分かっていて、帰りがけに家族と話すための時間を取ってくれることが多いようです。
その時、いつどんなことがあったのか、家族としては何が心配なのかを短時間でしっかりと伝えられるように、メモにまとめておくようにしましょう。
親の行動に不安な点が見られたら忘れないうちに書き留めておく習慣を持つことをオススメします。

保険

保険は国や自治体が運営主体となっている「公的保険」と、民間の団体・企業が運営主体となり任意に加入する「私的保険」の2つに大別されます。
特に知っておくべきなのは公的保険制度である健康保険の高額医療用制度と年金保険の保険料免除の制度です。

健康保険には医療費の自己負担額が高額になりすぎないよう、自己負担額に上限を設けた高額療養費という制度があります。
例えば、70歳で年収が156万~370万円の人が1カ月の外来診療で自己負担する金額が個人ごとだと18,000円、世帯ごとの入院も含めた上限額は57,600円とされています。

「え!70歳過ぎてから年金から1カ月57,600円の医療費を捻出するのは大変だよ」と思う人もいるでしょう。
このような時に役立つのが民間の生命保険の入院特約です。仮にある年の4月1日から4月30日まで入院していた人がいたとして、この人が民間の生命保険に加入して入院特約として1日当たり5,000円が給付される特約を付帯していたとしましょう。
そうすると入院給付金15万円を受け取りつつも、病院に支払う額は上限額の57,600円であるため約9万円のお金がプラスで残ることになります。

このように国の高額療養費制度と民間の保険を組み合わせて利用することで病気に対する備えはしっかりできます。

年金

保険の話ついでに年金の話もしておきます。

年金が危ないと言われて久しく若い方の間では将来貰えるかどうかわからないから年金を払いたくないという声が上がっています。
しかし、国民年金は老後の年金になるだけではありません。

一定程度の身体障碍を負った時に「障害基礎年金」として支給される障害補償の役割も担っています。
また、限定的ではありますが、死亡した場合、残された家族に「遺族基礎年金」として支給される場合もあります。

つまり、国民年金は老齢・障害・死亡の3つのリスクをカバーする「総合保険」の役割を果たします。

しかも老齢年金は死ぬまで給付が受けられる終身年金です。
民間の保険会社にはこんな保険商品はありませんし、仮にあったとしても月額1万6,540円をはるかに上回る保険料になるでしょう。

世の中の人の多くが「払うと損だ」と思っている国民年金は、実は総合的なリスクに備えることのできる「お得な保険」だと考えることもできるのです。
さらにこの年金を受給することができるのは「保険料をきちんと納付していた人」もしくは「保険料が払えないことを市区町村の窓口に申し出て、納付を免除された人」だけという仕組みになっていることも知っておくべきでしょう。

お金がないのが理由で国民年金保険料が支払えないのであれば、必ず市区町村の窓口に行き保険料免除申請をすべきです。
保険料免除申請をして認められていれば、年金給付の対象となります。
払えないからと言ってほったらかしにすることはないようにしましょう。

相続

遺産分割を巡ってはもめごとが起こりやすいものです。
よく「うちには争いになるほどの財産がない」などと言いますが、実際には財産が少ない家ほど、その少ない財産を巡ってもめやすいともいわれています。

法律では子供に残された財産は均等に分けることになっていますが、なかには特別に自分の面倒を見てくれた子供に多く遺したいということもあります。
このような場合にはしっかりと遺言を残しておく必要があります。

遺言というと自分の手書きで文字で書いた遺言書をイメージされるかもしれませんが、こういった遺言書には、紛失・偽造・日付が入っておらず無効になるというリスクがあります。

可能であれば公証人役場で公証人に作成してもらうようにしましょう。

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葬儀

ひと昔前までは葬儀は大々的にお金をかけて行うことが多かったですが、近年はお通夜も告別式もせずに火葬場で送り出す直葬や、お通夜をしない一日葬、また家族だけで送る家族葬などが増えており、規模が縮小してきています。

葬儀の規模の縮小が続いているのは、多くの方が葬儀費用の高額なことに疑問を抱くようになったことも大きな一因と言えます。

実際、よほど何度も葬儀を経験している人でもない限り、何にどれくらいの費用が掛かるのかが分かりません。
また、短時間で多くのことを決めなければならないので、見積書を出されてもゆっくり検討する時間もありません。
すると言葉は悪いですが、葬儀社の言い値に従うしかないという事態が起こりえます。

多くの方が「いくら何でもお葬式にこんなにお金がかかるのはおかしいのではないか?」と思うようになったのはとてもいいことだと思います。
今後は「ぼったくり」をする業者は減っていき、まともな業者だけが残っていくようになるでしょう。

さて、ぼったくられていないと判断できる葬儀の費用は一体いくらくらいなのでしょうか?
2022年時点での平均金額は一般的な従来型の葬儀だと約110万円と言われています。
(情報元:葬儀費用の平均相場はいくら?料金の内訳や葬式代を安くするコツを紹介 | はじめてのお葬式ガイド

なお、家族葬だからと言って費用が安くなるかというとそういうわけでもありません。
また、弔問客がいないためお香典がなく、お葬式を出す側の金銭的負担はむしろ重くなります。
ですから、子供のことを想って「家族葬でいいよ」なんて生前に伝えると困ったことになるかもしれません。

また、葬儀の生前予約、生前支払が可能な葬儀社さんもありますので、余裕がある方で遺族に負担をかけたくないという方はそういった方法を検討するのもいいかもしれません。

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お墓

現代ではお墓のあり方も変わり、先祖代々のお墓や納骨堂以外の選択肢も多数登場しました。
したがって、その選択肢を知って自分にとって一番いいと思う方法を取るべきでしょう。

例えば最近は樹木葬や散骨を望む人が増えてきています。
樹木葬とは墓石の代わりに樹木をシンボルとするお墓です。そして散骨とは遺骨を粉末にして野山や海にまく葬法です。

こうした葬法を望む人が増えている背景には少子化や未婚率の上昇でお墓の後継者がいない、また、後継者がいたとしてもお墓を維持するのは大きな負担になると考える人が増えているということがあります。

このようにお墓一つにとっても多様な方法があるのです。

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まとめ

今回ご紹介した6つの項目について自分はこれにこだわりたいと思うポイントや事前に準備しておきたいと思ことから順番に調べてみてはいかがでしょうか?

厚生労働省は人生100年時代に向けた取り組みの一つとして高齢者雇用対策を掲げています。
それは高齢者が健康で意欲と能力のある限り年齢にかかわりなく働き続けることができる社会の実現を目指しているということです。
ただ、長生きするということではなく、自立して心身共に健康的に生きられる期間、つまり健康寿命を延伸するということです。
それによって、人生の終末期の事務的な備えとして捉えられていた終活も、最後までより良く生きるための日々の活動という面で注目されるようになってきています。

最初に老後の心配はお金と人間関係に集約されると書きましたが、お金のことが心配であればいつまでも働ける仕事を手に入れ、仕事を通じて豊かな人間関係を気付くことができれば一石二鳥です。

この人生100年時代を生き抜くためには、終活と共にやはり自身の健康についてもしっかりと考え、高齢者と呼ばれる年齢になってもいつまでも生き生きと仲間と仕事ができるような生活を送ることが何よりも大切だと言えます。

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